<山行> 高ドッキョウ・平治の段 2014/12

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2014年の大晦日。
登り納めに、静岡・山梨の県境にある高ドッキョウ・平治ノ段へ。
樽峠入り口(静岡市清水区中河内)から登った。



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■ 高ドッキョウ (標高 1133.5m)
■ 平治の段 (標高 940m)

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2014年 12月下旬 単独行


[TIME]

( 8:23) 樽峠入り口 <標高約400m>
( 9:01) ヒュッテ樽
( 9:25) 樽峠

(10:49) 高ドッキョウ 山頂 <標高1133.5m>(写真撮影〜 11:15)

(12:26) 樽峠
(12:36) 貫ヶ岳登山道入り口 (昼食〜 12:50)

(13:21) 平治の段 (標高940m)(写真撮影〜 13:48)

(14:06) 貫ヶ岳登山道入り口
(14:15) 樽峠
(14:56) 樽峠入り口




(※途中小休止・写真撮影含む)



 天候 晴れ

 歩行距離 約12km




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年末は30日まで仕事があり、ようやく大晦日から休みが取れた。
大掃除などやる気も無く、端からこの日は登り納めとして山へ行こうと計画していた。
もし所帯を持っていたら殺されるだろう。独身だからこんなことも許される。(笑)

どうせなら富士山がよく見える山がいいなと思い、数週間前から行き先は『高ドッキョウ』『平治の段』と決めていた。
山頂からは富士山が大きく見えるとのことで、冬は空気が澄んでいてさらに素晴らしいだろうと予想したのだった。

さらにもう一つ、冬にこの山へ登ろうと考えた理由があった。
ネット上のレポートによると、この山は暖かい時期はヤマビルが多く出るらしいのだ。
梅雨の時期にそれと知らず、もしくはそれを覚悟の上で足を踏み入れたものの、
そのあまりの多さに途中撤退される方が結構いるとのこと。
この時期はヒルが冬眠中のため好都合だと思ったのだった。





2014年最後の日の出を見ながら新東名を走る。
ナビの指示に従い、『新清水JCT』から『清水いはらIC』へ降りた。
みかん畑の中の道をさらにナビの指示に従う。

山間の集落へと車は入っていく。ここで予想外の事態に気付いた。
車の外気温計がいつの間にか氷点下を指していたのだった。
清水と言えば駿河湾に面した温暖な地域という印象を持っていたが、さすがに山間部は冷え込むらしい。
融雪剤が撒かれていたので凍結こそしていなかったが、目的の登山口へ到着する間に、マイナス3℃まで下がる場所もあった。

県道195号線を突き当たりまで北上。登山口の「樽峠入り口」へ到着した。
ここでまた問題発生。駐車場が分からないのだ。
先行者の車があれば、それにならって停めれば良いと思っていたが、自分以外誰も来ていない様子。
県道の突き当たりにはちょうど良いスペースがあったが、「転回場のため駐車禁止」の看板が掲げられていた。
一応ネットで調べた情報として、付近の路肩に駐車するらしいことを知っていたが、どこもかしこも畑の所有者の土地にしか見えない。
下手な場所に駐車して通報されても嫌なので、畑に面していない路肩のスペースへと車を停めた。






身支度をしてようやくスタート。県道左手の茶畑の中の道を進む。
県道脇に申し訳程度の小さな道標が立っていた。
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本当にこの道で合っているのだろうか?と思っていると、茶畑のすぐ先に掛けられた丸太橋を見つけ、ホッとした。
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樹林帯の沢沿いの道は台風か大雨の影響か、かなり荒れていた。(写真は帰りに撮影)
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しばらく歩くと手作り感満載の標識が現れた。個人所有の山小屋「ヒュッテ樽」の案内看板だった。
その山小屋を見物するため、登山道から分岐した木段を登っていった。



波トタン貼りの小さな山小屋。鍵はかかってなく、中をのぞくと囲炉裏らしきものがあった。
許可を得れば小屋を使用できるのか?(でも連絡先もなくどうやって?)
小屋の前の鐘は何のためにあるのだろうか?
いろいろと疑問が湧いてくる山小屋だと思った。
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山小屋をあとにし、再び登山道に戻る。
沢を渡り、まさにハイキングコースといった印象の、良く整備された九十九折の道を進む。
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植林帯の景色にも飽きてきた頃、樽峠に到着。
休憩に適した広い場所だと思うが、ベンチなどは無く木陰で暗い。周囲には数体の地蔵が立っていた。
ここから道は『高ドッキョウ』『平治の段』『樽峠登山口(山梨県側)』と、それぞれ分岐している。
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とりあえず、まずは『高ドッキョウ』へ進路を取る。
高ドッキョウの頂を踏んで再びここまで戻り、その後『平治の段』へ登る計画だ。



山梨と静岡の県境となっている尾根道は広くなだらか。
遠足で歩く小学生の一団が目に浮かぶようだった。
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樽峠から20分ほど進み、坂道を登っている時だった。
少し先、左手の笹薮に何かが動いていることに気付いた。

坂を上りきったところでそれと目が合った。全身が黒い毛に覆われた動物だった。

その距離わずか3mほど。
体が固まった。心臓がバクついているのが自覚できた。

ああ、ついに出会ってしまった。
山歩きを続けていればいつかは遭遇するだろうと思っていたが、よりによってこんな至近距離で。
鈴を鳴らし歩いていたが、やっぱり効果はないのか?

しばし、その生物と見つめ合う。


”あ、あれ…?、クマじゃない?”


全身黒い毛の動物だが、クマのように真っ黒ではない、そして何だか顔が間抜けている。
クマではないが、イノシシでもない。
大きさからしてまだ子供のようだ。何かを口に含んだまま、モグモグやっている。

「おまえ…、カモシカか?」

気が動転して、言葉が分かる相手ではないのに思わず話しかける。(笑)
同時にデジカメのスイッチを入れた瞬間だった。
こちらの不穏な動きを察知したのか、その動物は背を向け一目散に走り出した。



もたつきながら慌ててシャッターをきったが、28mm相当単焦点レンズではこれが精一杯(笑)
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カモシカといえば灰と黒のツートンカラーだと思っていたが、後にネットで調べたところ、全身黒い個体もいるらしい。
これを遠目で見てクマと誤認することもあるかもしれないと思った。






それまでは低学年の小学生でも歩ける道だと思っていたが、だんだんと険しくなって来た。
転落防止のロープが張られたヤセ尾根も出てきた。(写真は下山時に撮影)
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途中、南側の景色が望める展望地があったが、黄砂がかかっているように霞んでいて、遠くまで展望が効かなかった。


このあたりから道は急登となる。
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霜柱が溶けて再び凍り付いたのか、土がカチカチに凍っている場所もあり、アイゼンを履こうか迷った。
一定のペースを保ち、ゆっくりじっくり登っていく。

後ろを振り返ると、そこには富士山が静かに屹立していた。
急登を登りながら、時々振り返って力をもらう。


高ドッキョウ山頂へ到着。
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一応、静岡と山梨の県境にある山だが、立てられた山名表示に「山梨百名山」と書かれている。
そういえば、途中の道標にも山梨県側の町名が書かれていた。
どちらかと言えば山梨の人に愛され登られている山なのだろうか。

それにしても人の姿がない。やはり大晦日は皆、大掃除など年越しの準備で忙しいのだろうかと思った。
写真を撮ったりチョコを食べたり、25分ほど休憩して下山開始。


急坂の下りもあって、思ったよりも時間がかかってしまった。
昼食休憩地点に予定していた樽峠に戻った時には12時25分になってしまっていた。

ここからは先程登って来た『高ドッキョウ』とは逆方向の『平治の段』へ向かう。
予定通りここで昼食にしても良かったが、樹林帯の日陰で寒々しく、心まで寂しい気分になりそうだった。
”もしかしたら、平治の段へ向かう途中に日当りの良い休憩ポイントがあるかもしれない”
あめ玉を口に放り込み、先へ進むことにした。



ところがその先も暗い樹林帯であり、日当りの良い場所は見つけられなかった。
この長々と続く木段にぶちあたって、ついに空腹に耐えきれなくなった。
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登山道脇のスペースに腰を下ろし、カップラーメンとオニギリをかき込む。
余韻に浸る間もなく、ザックを背負って木段を登り始めた。




木段の区間が終わると、再び広く緩やかな上りの道となった。
道の両側には人の背丈ほどもある笹が生い茂っていた。
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少し歩くと分岐点の道標があった。道標の指し示す方向は、樽峠・中河内峠・貫ヶ岳頂上となっている。
『平治の段』の表示もあるが、この道標が立っている地点がその場所のようだ。
ところが、そこにはガイドブックにあった富士山を望む展望がなく、戸惑う。とりあえず、中河内峠方面へと進んでみる。




すると、すぐ先にその目的の展望地はあった。
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午前中に登った高ドッキョウからの展望よりも視界は広く、富士山がより大きく見える気がした。
ここまでも全く人に会うことはなく、この展望を独り占めできる贅沢さに感謝した。
写真を撮ったり、魔法瓶の余った湯でミルクティーを作って飲んだり。
しばしその展望を眺め、余韻に浸る。


下山開始。
順調に下り、山小屋近くの水場に差し掛かった時だった。
水場の流し台に正月飾りがくくり付けられているのに気付いた。
往路では無かったはず、いや、ただ単に気付かなかっただけなのか?

山小屋『ヒュッテ樽』の看板まで戻った。
明らかに往路ではなかった正月飾りが付けられていた。多分、山小屋のオーナーが来たのだろう。
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結局この後も人に会うことは無く、今回の山行で出会ったのは黒いカモシカの子供だけだった。

2014年最後を締めくくるにふさわしい、静かな山歩きとなった。






使用カメラ
 RICOH GR


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by hama-take | 2015-02-07 23:14 | 山行 静岡県 | Comments(0)

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